<はじめに>
仏具をお揃えになる前に、大切な話があります。
それは、ご自宅の宗派を正確に知ることです。
例えば、浄土宗の方が浄土真宗の仏具を使用することはできません。
また、同じ浄土真宗であっても、
本願寺派(お西)と大谷派(お東)では使う仏具が異なり、
互いに代用できないものもあります。
このように、宗派によっては 他宗派の方が使用できない仏具が存在します。
このページでご紹介している仏具は、
あくまでも「他宗用(浄土真宗以外の宗派)」として
一般的に用いられている仏具を中心に解説しています。
ご不安な場合は、必ず菩提寺や信頼できる仏壇店へご確認ください。
仏具・具足の意味と種類|三具足・五具足をわかりやすく解説
本ページは、法事・慶事アドバイザーとして 仏事・慶事の現場に37年間携わってきた経験をもとに構成しています。
「仏具(ぶつぐ)」はよく聞く言葉ですが、仏事の場では「具足(ぐそく)」とも呼ばれます。
法事の前に仏壇を整えるとき、何をどこまで揃えればよいのか迷う方も多いはず。
このページでは、仏具・具足の意味と種類(代表例)を、できるだけわかりやすく整理します。
仏具と具足の違い
仏具は、仏壇や仏前で使う道具の総称です。
一方、具足は「仏前を整えるための一式(セット)」という意味合いで使われます。
日常では「仏具」という言い方が一般的で、
法事や仏壇店など少し専門的な場面では「具足」という言い方もよく登場します。
具足の基本|三具足(さんぐそく)とは
三具足は、仏前を整えるための基本的なセットを指します。
一般的には、次の3つを中心に考えます。
- 香炉(こうろ):線香を立て、香を手向けるための器
- 花立(はなたて):花を供えるための器(1対で左右に置くことが多い)
- 燭台(しょくだい):灯明(ろうそく)を灯すための台(1対)
三具足の一例(机上香炉・花立・燭台)
※呼び方や数え方は地域・宗派・仏壇の形式により異なることがあります。
※仏具の色は”浄土真宗お東”以外は色付きの黒をお求めになる必要があります。(多くの場合、金色は浄土真宗お東になります)
迷う場合は、菩提寺や仏壇店に確認するのが安心です。
もう少し整える|五具足(ごぐそく)とは
五具足は、三具足よりもさらに丁寧に仏前を整えるときの考え方です。
一般的には、香炉・花立(1対)に加え、燭台(灯明)を2対にして整える形が多いです。
五具足の一例(机上香炉・花立一対・燭台〈灯明〉一対)
ポイント:
「五具足だから正しい」「三具足だと失礼」ということではありません。
そのいい例としてお寺様のご自宅のお仏壇は三具足でお祀りなさっていらっしゃるケースが多いようです。
仏壇の大きさや、家庭の状況に合わせて無理なく整えることが大切です。
六具足という考え方について
仏壇店やカタログの中には、五具足の香炉を
抹香を焚くための「抹香用の香炉(玉香炉など)」として
勧めているケースも見られます。
このケースは浄土真宗で見られます。
しかし、実際のご家庭での法事や日常のお参りでは、
抹香用の香炉よりも、線香を立てるための机上香炉のほうが
現実的で扱いやすいと感じます。
私の経験上、抹香用香炉(玉香炉など)は、
本来の「抹香を焚く」という行いが次第に薄れ、
現在ではお仏壇を整えるための
装飾的な意味合いで
用いられることが多いように思います。
もともと香を焚くという行為は仏事に限らず、
高貴な方をお迎えする際にも行われていたと伝えられています。
仏教的には、
「あまねくすべての方に仏さまの大慈悲が行き渡るように香を焚く」
という意味が込められており、
玉香炉はその香を焚くための仏具です。
どうしても抹香用の香炉を用いたい場合には、 六具足として整える方法があります。
六具足とは、次のような組み合わせです。
- 火立(燭台) × 2
- 花立 × 2
- 線香立て(机上香炉) × 1
- 抹香用香炉(玉香炉など) × 1
ただし、現代の住宅事情による仏壇の小型化に伴い、
抹香用香炉自体も小型化しています。
そのため、本来の用途である焼香には不向きな場合も多く、
現在では法要時に
「焼香炉」という別の仏具を用いるケースが
一般的になっています。
このように役割を分けて整えることで、 日常のお参りのしやすさと 本式の供養としての考え方を、 無理なく両立させることができます。
代表的な仏具の種類(一覧)
ここでは、法事前のお仏壇チェックで登場することが多い仏具を整理します。
- 位牌:故人を想い、手を合わせるよりどころ
- 打敷:仏前を整え、場をあらたかにする敷物
- 吊り灯籠:仏前をやさしく照らす灯り
- リン:心を整え、仏前に向かう合図となる音
- 香炉・線香:香を手向け、祈りを届ける
- 花立・花:仏前に彩りと季節を供える
- 燭台(灯明):灯りを供え、仏前を整える
- 経机:供物や読経の準備を整える台
- 座布団:僧侶や施主を迎える心配り
法事前に整えるときの考え方
法事の準備でいちばん大切なのは、「完璧に揃える」ことではありません。
まずは、今ある仏具を丁寧に拭き、整え、安全面を確認すること。
それだけで、仏前の空気と心持ちは大きく変わります。
- 古いからといって、すぐ買い替えなくて大丈夫
- 迷ったら「菩提寺に確認」でOK
- 火や電気などの安全面だけは早めに見直す
仏具(具足)は、想いを形として整えるための道具
仏具は、手を合わせる心を支え、場を整えてくれる存在です。
三具足・五具足の考え方も、正解を決めるためではなく、
無理なく仏前を整えるための目安として捉えてください。